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本当は100mがやりたかったけれど、18歳の時それを諦めた。今考えるとあれは、好きな事をやるか、勝てる事をやるかの選択だったのだと思う。引退した時、ある人に言われた。『ハードルを選んだ時と同じロジックで次の人生を考えたらいい』
人間の声帯は、奇跡といえるほど驚異的な器官です。
声帯についての一般的な認識は、
「喉にある一対の粘膜のヒダで、それを閉じて息の力で振動させる」
・・・程度のものだと思います。
私自信も昔はそんな認識しかなく、一流の歌手の声を聴く時、「どうしてあんな声が出るのだろう、あんな風に歌えるのだろう」・・・魔法のように感じたものです。
僅か2センチほどの小さなヒダが、2オクターブ以上の音域を悠々と奏でることができる・・・楽器では考えられない能力です。
ところが、フースラーの書に出会い、声帯の仕組みを知る内に、不思議ではなく、驚きを伴った納得に変わって行きました。
フレデリック・フースラー(1889~1969)の研究著書「うたうこと」の原書が出版されたのは1965年でした。フースラーの研究はそれまで誰も為し遂げられなかった偉業で、世界的な反響を呼び、声楽界に大きな影響を与えました。
19世紀から20世紀にかけての声楽界は、非自然的な発声法がもてはやされた混迷の時代といわれます。
そのような悶々とした靄を晴らす可能性を示してくれたのがフースラーの研究だったのです。
出版と同時に声楽家や指導者が群がり買い求めたそうです。
原書が出版された当時、私は中学を卒業した頃で、そんな研究の存在すら知りませんでした。それから20年ほど後、日本語翻訳本が出版されました。
私は偶然書店で見つけ、「よくある発声書のひとつ?」くらいの気持ちで購入したのが出会いでした。
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